死亡した人の口座をそのまま使うことの問題点
1 亡くなった方名義の口座はどうなるか
銀行口座の名義を持っている方が亡くなったことを銀行が知った場合、銀行はその口座を凍結します。
亡くなった方が口座からお金の引き出しをすることはできないので、当然のことと言えます。
しかし、亡くなった方のキャッシュカードを所持する方が、暗証番号を知っていた場合、死亡の通知を銀行に連絡する前に、キャッシュカードを利用して、引き出しを行うことは物理的には可能です。
このような引き出し行為は、どのような点で問題となるのでしょうか。
2 遺言書で相続人が指定されている場合
遺言で、口座を相続する者を指定されているときは、被相続人が死亡したときから指定された者が口座の権利を取得することになります(民法985条1項)。
したがって、指定された者以外の相続人が口座から預金を引き出した場合は、指定された相続人に引き出した預金を返金する義務があります。
3 相続人が指定されていない場合
この場合は、遺産分割協議などで、口座の取得者が決まるまでは、相続人が共有している状況になります(民法898条1項)。
ここで、各相続人の持分は民法898条2項により、「900条から902条までの規定により算定された相続分」と定められています。
そうすると、自己の相続分の範囲内であれば、引き出しても何ら問題ないようにも思えます。
しかし、他の相続人との合意がなく引き出しをした金銭は、例えそれが被相続人の負債等のために使用したとしても、立証できなければ相続人間の紛争の火種になり、後の遺産分割協議が紛糾する原因となり得ます。
特に、民法909条の2により遺産分割前の預貯金債権の行使がみとめられた以上は、口座が凍結されても、一定の範囲では預貯金債権の行使が可能になったため、この制度に基づいて口座の債権を行使すべきです。
ただし、909条の2に基づく預貯金債権の行使であっても、「権利を行使した預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。」と規定されていることから、この規定による預金の引き出しの際も、使途は明確に立証できるようにしておく必要があり、他の相続人の承諾を得て行うことが無難です。
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